研究課題
風力利用推進補助システムに関する基礎研究として、船橋部ドジャー支持部を利用した円筒型帆を選定し、空気吸い込みによる揚力発生の定量的な評価を行うための基礎研究を行った。平成18年度は空気吸込み状態における揚力と抗力の直接計測システムを開発し、補助推進装置としての可能性を定量的に検討した。第1段階として、小型2次元煙風洞用の水平型の計測システムを開発し、その計測方法の妥当性を検証した。第2段階として、大型風洞での揚抗力計測システムを構築し、大型模型を用いた揚抗力の精度向上のために必要な計測機器を作成し、その基礎的な特性を確認した。また、模型尺度の影響についても基礎データの蓄積を行った。1.煙風洞用計測システム:中軸型3分力検出器および空気吸込み管路に柔軟管材を挿入する方式を採用し、空気吸込み中の揚抗力計測システムを開発した。対象模型としては平成17年度の成果をもとに2種類の小型模型を選定し、空気吸込み有無の揚抗力計測を実施した。1)吸込みなしの2次元円筒帆の抗力計測では抗力係数C_Dが1.2と計測され、他の2次元円筒の実験例と比較し、本計測システムの妥当性を確認した。2)空気吸込み量C_Q(=Q/LDV)=0.42の状態で、最大揚力係数CEは約5-7と非常に大きな揚力を得ることが出来た。また、抗力係数C_Dについては最大3-5と評価することができた。さらに、吸込み方式の差異、迎角および風量の影響を明らかにした。2.大型風洞用計測システム:大型風洞で用として、大容量送風機、地面板および大型3分力計を用いた垂直型の揚抗力計測システムを構築した。1)吸込みなし大型模型による風洞における、抗力計測では抗力係数C_Dが0.9-1.2と他の2次元円筒の実験例とほぼ同じ値を得、計測システムの妥当性を確認した。2)吸込み時の揚抗力については、2種類の煙風洞試験と相似模型について実施した結果、最大揚力係数CLが最大約7.5が得られること、最大抗力係数C_Dが約3程度であることを明らかにした。さらに、小型模型煙風洞試験と同様に、吸い込み方式の差異、迎角および風量の影響を明らかにし、また模型尺度の揚抗力に関する基礎データを得た。これらの結果は2007年度日本船舶海洋学会において発表する予定である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of Wind Engineering, JAWA Vol.31 No.3
ページ: 673-676
日本船舶海洋工学会講演論文集 第2E
ページ: 139-140