船舶の遭遇する海象のシミュレーションプログラムを、以下の手順により作成した。 (1)気象協会が提供する全地球規模の波浪追算データより日本-北米を結ぶ格子点の海象データを1995年より1999年までの4年間入手した。 (2)上記の格子点を船舶が航行する速度に応じて時間をずらして辿ることにより、船舶がこの航路に就航中に遭遇する海象のシミュレーションを行った。 (3)多数の遭遇海象シミュレーションより、遭遇海象の時系列のパターン化を行い、それを統計解析した。 (4)大波高の荒天に遭遇する頻度、荒天域の通過に要する時間、荒天時の有義波高、波周期の構成を整理し、適切なモデル化を行った。 (5)このモデル化と従来より船舶設計に用いられているHogbenのGlobal Wave Statisticsの海象データと整合性をとり、一般的な遭遇海象モデルを設定し、遭遇海象のシミュレーションモデルを作成した。 (6)船舶の大波高中の荒天回避について文献を調査し、船舶の種類、サイズによってどのようなパラメータが必要であるかを整理して、それらを定量化し、荒天回避の限界海象を求めた。 (7)(5)の遭遇海象シミュレーションに荒天回避のパラメータを盛り込んだプログラムを開発した。
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