研究概要 |
近接型AEダブレットの相対震源座標を標定するアルゴリズムを開発した。この標定アルゴリズムでは,ケプストラム解析により,近接型AEダブレットの相似の度合いを評価するとともに,近接型AEダブレットの入力時間差を検出する。そして,マスターイベント法を使って,近接型AEダブレットの相対震源座標を評定する。ケプストラム解析により,AE信号が連続して,波形観察では相似を評価できない場合でも,相似の度合いを評価できるようになった。 近接型AEダブレットのケプストラムが線ケプストラムにならないイベントがあることが判明した。これはP波とS波の2つの入力時間差の影響と考えられる。S波の影響を抑圧した近接型AEダブレットの入力時間差検出法を今後検討していく。 ソルツHDRフィールドで1993年に行われた水圧破砕実験で観測したAEを解析し,52個の近接型AEダブレットを見つけた。そして,それの相対震源座標を決定した。その相対震源座標の方向の分布は,従来のAEダブレット解析の結果と整合していた。また,従来のAEダブレット解析の結果には見られない相対震源座標の方向も見られた。 勇払油ガス田で2005年に行われた水圧破砕実験で観測しったAEを解析し,26個の近接型AEダブレットを見つけた。そして,それの相対震源座標を決定した。勇払のAEデータはノイズが大きいため,近接型AEダブレットの入力時間差の検出が難しかった。 2つのフィールド実験の結果を解釈する場合,近接型AEダブレットの特徴である短い発生時間差の意味が極めて重要である。地下き裂進展とAEの発生メカニズムを考察していく。
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