本研究の目的は、廃棄物燃焼炉2次燃焼域に旋回流を付与することにより浮遊物質を遠心分離し、それら浮遊物質を燃焼炉に再送することにより有害なベンゼンやダイオキシン類の生成を抑制する『旋回流による未燃物遠心分離再燃焼法』に関する基礎研究を行うことである。今年度の成果を以下にまとめる。 1.排ガス中浮遊物質の遠心分離除去コールドモデル実験 サイクロン技術と微粒子のブラウン運動を参考にして、アクリル製の小型遠心分離機を製作し、以下の条件でコールドモデル実験を行った。1□mおよび6.7□mのアルミナ微粉末をそれぞれ気流中に混入し、遠心分離効率η(%)に及ぼす旋回ガス速度の影響を調査した。流入角速度ωが6.5rad/s以上の場合、ηは1□mの微粒子で85%、6.7□mの微粒子で95%を達成した。 2.燃焼排ガス中浮遊物質の遠心分離再燃焼実験 コールドモデル遠心分離機を用いたアルミナ微粒子の遠心分離除去実験結果に基づき、ステンレス製のホットモデル遠心分離機の設計作製を行った。 まず実験室規模の燃焼炉(燃焼反応管内径157mm、均熱帯250mm)を用いて、燃焼条件800℃、40%O_2-60%N_2(5NL/min)、200□mのPVC粉末試薬の燃焼実験を行ない、燃焼排ガス中の浮遊カーボン系物質(C^*)の個数を測定した。次に同じ800℃の温度において浮遊C^*をホットモデル遠心分離機により分離再燃焼した場合、浮遊C^*の個数は分離再燃焼する前の値の約1/5にまで減少した。 3.次年度は、PVC燃焼排ガスに本遠心分離方法を適用し、処理ガス中のベンゼン濃度ならびにダイオキシン類濃度の削減率に及ぼす燃焼ガス流量の影響について実験を行い、本方法による有害物質の削減率の評価を行う。
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