本年度は、グリーンプラスチックのリユースとグリーンコンポジット作製の基礎に関する研究を行った。 1、生分解性プラスチックのポリブチレンサクシネート(PBS)およびポリ乳酸(PLA)について、原料ペレットから、ホットプレス法による試験片の自作技術を確立し、次年度のリユースによる材質劣化の評価を可能とした。 2、ジュート及び綿糸を使用したグリーンコンポジットの作成を試み、現行エンジニアリングプラスチックに相応する機械的性質を有する材料作製を可能とした。 3、両材料を水環境および種々の湿度環境で長期間曝露することにより、材料の吸水・吸湿・温度特性を明らかにした。吸水・吸湿特性の研究から両材ともFickの拡散則が成立することを確認した。これら環境下での両材の劣化および結晶化度の変化を示差走査熱量測定(DSC測定)およびX線回折により分析し、短期の環境暴露ではほとんど影響が生じないものの、長期および高温下では加水分解、結晶化度の変化等が確認された。本年度購入した液体クロマトグラフ(HPLC)の応用に関しては、本年度実施した熱・水処理条件では劣化の程度が低く、量的評価には利用にいたらなかったが来年度より活躍が期待される。 4、両材の機械的特性については、引張弾性率、曲げ弾性率、引張強度、および曲げ強度の計測を行った。 5、PBSの引張クリープ試験を行い、アレニウス型の温度・時間換算則が成立することを明らかにした。一方、クリープ特性が吸水量に依存することを明らかにし、水分があたかも温度変化と同様に作用し、吸水量・時間換算則が成立することを確認した。このことは材料設計に十分活用が可能であることを示している。
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