研究概要 |
本研究ではグリーンプラスチック(PBS,PLA)の高度利用およびリユースを目的として研究を行った。また利用するグリーンプラスチックの強度の向上を目的とした改質や複合材料化を試みた。 1.PLAのリユースについて、利用時の材質劣化を想定せず、単純に再成形を5回繰り返しても強度の低下が見られないことが明らかにした。利用時の材質劣化を想定し、吸水時さらには高温による加水分解を発生させ、再成形が材質にあたえる影響の研究を行った。この結果、吸水により強度の劣化は、乾燥処理や再成形により吸水前の強度に戻ることが確認されたが、加水分解により劣化した材料は再成形後にも強度は戻らないことが確認された。 2.高強度化を行うためジュート繊維の糸を強化材とするグリーンコンボジットの開発を行った。水分散型PLAを用い、綿糸およびジュート繊維内部に樹脂を含浸させることによって、引張強度でポリカーボネートとジュート繊維強化同等の強度を有する材料の作成手法を開発した。またクリープ特性、疲労強度も向上することが確認された。 3.結晶性高分子であるPLAおよびPBSを使用したことより、結晶による材質改善の可能性を検討した。結晶化度の上昇により機械的性質は向上することが確認された。一方、結晶化度が高いほど加水分解挙動が促進される弱点が明らかとなった。 4.またすべての材料について、結晶化度がクリープ特性に及ぼす影響の把握を行っていた。PLAについては、本年度は結晶化度のみならず、結晶粒径を考慮したクリープ特性の把握を行った。その結果、結晶粒径、結晶化度に依存して、クリープ挙動が変化することが明らかとなった。 5.グリーンプラスチックのリユースに関するLCAの文献調査を行ったが、体系化するには至らなかった。
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