研究概要 |
配管全体をモニタリングするために、電磁超音波による検査手法を検討し実験を行った。超音波の送信モードは、底面や表面で反射する際にモード変換の少ないSH波を利用した。 超音波の波長より十分に厚い板厚に対して、超音波の送信周波数を変化させることで超音波ビームのスキャニングを行い、欠陥がない場合の超音波伝播波形を参照信号とし、欠陥が存在する場合の波形との差信号を得ることによって、ある特定の周波数で差信号強度が大きく得られることを示した。差信号が最大となる周波数は、超音波の指向角の方向に存在する欠陥の位置情報を含んでおり、種々の周波数で差信号が最大となる多情報を利用すれば、検出精度を向上させることが出来ると考えられる。 一方、波長と同程度の板厚に対しては、平板プレートに放電加工した1mm, 3mm, 5mmの人工欠陥に対して、3mmと5mmはおおむね10%以下の誤差でその深さを評価できるが、1mmに対しては、欠陥の判別ができなかった。これは、送信周波数が1MHzとなるSH波を用いることによって、波長と同程度の3mmの欠陥までは欠陥判別ができていたが、それ以下の欠陥深さについては対応できていなかったものと考えられる。 永久磁石を電磁石に置き換えた磁場コイル型電磁超音波探触子について、電磁石コイルを多層化することによって、超音波の高出力化に取り組んだ。表面SH波の周波数が0.5MHz、1MHz、1.5MHz、2MHzとなる磁場コイルに対して、パルス電流通電による起磁力と超音波送信強度の関係を調べた。その結果、いずれのコイルに対しても単層で磁石型電磁超音波探触子と同程度の出力が得られることが確認された。また、磁場コイルの多層化は、送信周波数0.5MHzのコイルに対して4層重ねることによって、磁石型電磁超音波探触子の約2.6倍の送信出力を得ることができた。
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