研究概要 |
H17年度は、あらかじめ酸化物層などが存在しない表面組織構造を有する金属試験体(純鉄&Pd)を準備し、金属-水系面における双方向水素同位体移行実験を開始するとともに、トリチウムの配管内分布及び化学的存在状態分析手法に関する予備的データの取得整備を実施した。併せて、水素の挙動解析手法の整備、界面の組織構造分析を実施するとともに、原子力学会及び核融合炉材料国際会議に参加し、情報を収集すると共に関連成果を報告した。以下に具体的成果を示す。 1,酸化膜を極力排除した金属管(純鉄:肉厚0.5mm)を用意し、その表面状態をSEM, XPS, XRDで観察して、試験前の界面金属組織構造の情報を蓄積した。 2,金属管試料をステンレス容器に内包した2重気密容器を組立し、金属管内部に最大数百GBq程度の高純度トリチウムをヘリウム等で希釈した気体を封入、ステンレス容器内(金属管外部)に純水を封入し、双方圧力調整しながら全体を60℃程度に加温保持する試験を開始した。 3,上記2の試験において、水側はヘリウムで常時パージし、水素分子状で存在するトリチウムと水状で存在するトリチウムの弁別積算測定を継続中。液性(pH,ORP,DOなど)についても定期的な測定を継続中。また、最終的に金属管試料内部の水素同位体組成をラジオガスクロにて測定予定。 4,トリチウムの配管内分布計測のためのオートラジオグラフィ法+SEM観察の適用性と、界面でのトリチウムの化学的存在状態分析に対する重水素酸・アルカリ溶解法の適用性を確認するために専用の分析ライン整備と予備試験を実施し、その結果を原子力学会(2006年春の年会:茨城県)にて報告した。 また、原子力学会2005年秋の大会(青森県)と第12回核融合炉材料国際会議に参加して関連する情報を収集するとともに、TMAP等を用いた水素挙動解析手法の適用性を検討し、界面組織構造との相関や移行経路に関する考察を開始した。
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