本研究では、京都大学臨界実験装置KUCAで行われた熱中性子スペクトル体系の臨界実験データの精度評価を行い、原子炉設計等で使用する核計算手法の検証のためのベンチマークデータとして広く利用できるように整備することを目的としている。平成18年度は、以下の内容を実施した。 ・並列計算システムの整備 昨年度整備したPCクラスターによる並列計算システムに、データ処理用の計算機1台を付加した。この計算機では、PCクラスターで使用する計算入力データ作成のための事前解析及び計算結果データの処理を行うものである。これにより、効率的な計算作業の実施が可能となった。 ・炉物理パラメータの評価 昨年度選定したKUCA標準炉心の炉物理パラメータの評価として、燃料構成材として使用しているアルミニウムの組成、不純物の分析を行った。 ・ベンチマーク実験解析 KUCA標準炉心について、代表的な評価済み核データライブラリを用いた臨界解析を実施し、核データライブラリの予備的な精度評価を実施した。我が国で整備している最新の核データライブラリJENDL-3.3では、実効増倍率の中性子スペクトル依存性があることがわかった。 ・ベンチマークデータの調査 日本原子力学会の大会(2006年秋)に参加し、ベンチマーク実験及び核計算手法に関する国内動向を調査した。今回の学会では、メーカーにおいて開発が行われているいくつかの核計算手法の検証に関する報告が行われた。
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