本研究は、京都大学臨界実験装置KUCA等で行われた熱中性子スペクトル体系の臨界実験データの精度評価を行い、原子炉設計等で使用する核計算手法(核データを含む)の検証のためのベンチマークデータとして広く利用できるように整備することを目的としている。最終年度として以下の内容を実施した。 1)KUCA炉心のベンチマークデータ整備 これまでに選定した京都大学臨界実験装置KUCAの標準炉心を用いて、核データを含む核計算手法の検証に使用できるベンチマークデータ(モデル)を整備した。このモデルを用いて、最新の核データライブラリJENDL-3.3を含む核データライブラリの検証を行い、核データの精度を評価した。 2)軽水炉体系のベンチマークデータ整備 軽水炉体系である軽水臨界実験装置TCAのウラン炉心及びウラン炉心の臨界性、動特性パラメータ(主に遅発中性子割合)に関する実験精度を評価し、ベンチマークデータとして整備した。さらに、本研究で整備した核計算手法を用いて、JENDL-3.3を中心とした核データライブラリの精度評価のためのベンチマーク解析を行った。また、これらの成果に基づき、京都大学研究用原子炉KURの核特性解析手法を検討し、高濃縮ウラン炉心によるベンチマーク評価及び低濃縮ウラン炉心の核特性予測評価を行った。 3)成果のまとめ 上記1)、2)の成果をもと、炉物理実験データベースに組み入れるためのデータの整備を行った。
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