核計算手法の妥当性を検証するための臨界ベンチマークデータの整備を行った。このために、PCクラスターによる並列計算システムを導入し、必要なソフトウェアを整備するとともに、ベンチマーク対象計算用の標準炉心として、KUCA及びTCAの実験体系を選定し、以下の評価を行った。 ・KUCAの臨界実験データの精度評価のために、炉心構造材であるポリエチレン及びアルミニウムの組成及び不純物の分析を行うとともに、これまでに測定を行った炉物理パラメータの測定精度を評価した。この評価では、実験を行った際の各種条件の再現性、使用した燃料等の組成や寸法の誤差等をもとに、それらの精度が最終的に求める炉物理パラメータ値に与える影響を調べた。この結果に基づき、KUCAの標準炉心に対する核計算手法の検証に使用できるベンチマークデータ(モデル)を整備した。このモデルを用いて、最新の核データライブラリJENDL-3.3を含む核データライブラリの検証を行い、核データの精度を評価した。 ・TCAのMOX炉心の臨界性、ウラン炉心の実効遅発中性子割合に関する実験精度を評価し、ベンチマークデータとして整備した。さらに、本研究で整備した核計算手法を用いて、JENDL-3.3を中心とした核データライブラリの精度評価のためのベンチマーク解析を行った。 ・以上の成果に基づき、KURの核特性解析手法を検討し、高濃縮ウラン炉心によるベンチマーク評価及び低濃縮ウラン炉心の核特性予測評価を行った。これにより、低濃縮ウラン燃料により制限値を満足した炉心を構成できることを確認した。
|