様々な工学分野における二相流解析手法として一般的な二流体モデルを閉じるには、二相の相互作用の強さを表す界面輸送項の適切なモデル化が必要である。現在、米国・原子力規制委員会を主導機関として、二流体モデルに基づく原子炉安全解析シミュレーションコードの予測性能の飛躍的な改善を目指し、界面積濃度輸送モデルの開発研究が進められている。本研究は、環状気液二相流動構造・界面積濃度輸送機構の解明に関して、その総合的・系統的理解を目的とし、実験的(広範な流動条件下における環状二相流動特性値データベースの構築)・解析的研究(環状気液二相流界面積濃度輸送方程式等の開発)を行うことを目的としている。平成17年度は、実験装置の作成、計測機器の準備を行うとともに、流れ方向の液膜厚さに関するデータベースを構築し、既存の実験式・理論式との比較を行った。具体的な実績の概要は以下のとおりである。 (1)実験装置の作成 環状気液二相流実験用流動ループ、試験部の作成を行った。 (2)計測機器の準備 膜厚計測、波速度・液膜界面積濃度計測、高速度ビデオ撮影、管内圧力計測と液滴流量計測手法の開発・整備を行った。 (3)データベース構築・既存モデルとの比較 発達域における液膜のデータベースを構築し、主として平均液膜厚さ、界面せん断力、液滴飛散量に関する既存の実験式、理論式との比較を行い、流動パラメータを整理した。 (4)界面積濃度輸送方程式の開発 環状気液二相流の界面積濃度輸送方程式に関しては、液相を二群(液膜、飛散液滴)で扱う三群界面積濃度輸送方程式の開発を行った。
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