研究課題
基盤研究(C)
細胞が分裂する際には、微小管の重合状態、染色体への結合がモニターされ、異常が検知された場合には細胞周期の進行が停止する。このとき微小管の重合あるいは脱重合阻害剤で処理し続けるとアポトーシスをおこす細胞が多数出現するが、その制御機構の全容には明らかにされていない。微小管結合タンパクOrbitは、微小管の+端に集積し、その重合を促進する活性がある。それが遊離すると微小管は不安定になる。Orbitは微小管への結合と遊離を短時間で繰り返しており、それにより微小管の動きを制御している。培養細胞で微小管結合タンパクOrbitを大量発現させ、透過型電子顕微鏡にて観察したところ、微小管が異常に安定化され微小管の束がつくられていた。それにともないアポトーシスに特徴的な核の断片化が観察された。同様に幼虫期の分裂組織である複眼原基内でorbitを大量発現、あるいはノックダウンしてもそれに依存したCaspaseの活性化によるアポトーシスが確認された。このとき微小管重合チェックポイントに関わるbub1、mad2、p53の関与を示唆する結果も得られた。さらにショウジョウバエのアポトーシス誘導に関与する3遺伝子reaper, hid, grimの遺伝子量を半減したところ、アポトーシスをおこしている細胞数が減少することがわかった。Orbitの量的変動により微小管ダイナミクスが変化し、その異常をBub1、Bub2を介する微小管重合チェックポイント経路が感知してp53そしてReaper, Hid, Grimを介して最終的にCaspaseに依存したアポトーシスが誘導されるというモデルを提唱した。複眼原基内でorbitを大量発現すると成虫の複眼形態の異常として表れる。この表現型を抑圧、増強する遺伝子がないか、欠失染色体を用いたスクリーングをおこなった。全ゲノムの70%について調査したところ、増強、抑圧する染色体領域がそれぞれ5箇所、4箇所みつかった。これらの領域にこのタイプのアポトーシス誘導をそれぞれ負、正に制御する遺伝子が存在する可能性が示された。
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