ヨツモンマメゾウムシ(Callsobruchus maculates)用の遺伝子マーカーとして、Acanthoselides属やZabrotes属で開発されたDNAマイクロサテライトを試してみたが、使い物にならなかった。また、ヨツモンマメゾウムシのダイズの消化に関する遺伝子のcDNAパターンを用いたプライマーもためしたが、まったく使い物にならなかった。インド産のヨツモンマメゾウムシの外見形質の多型と相関の強いRAPDのプライマーを用先行研究とは異なり、体色という外見形質の違いはこれらのRAPDプライマーでは区別することができなかったが、地域系統の違いは明瞭に区別することができた。また、競争型という行動形質も、ある程度この2つのRAPDマーカーで区別できることができた。現在上記結果をまとめ、投稿論文を準備中である。 ヨツモンマメゾウムシのある1系統から導出された様々な系列のうち、極端な勝ち抜き型と共倒れ型を示す2系列間で掛け合わせをすることにより、競争様式と発育速度の遺伝様式を調べた。その結果、競争様式の遺伝様式は既知の結果からも明らかな通り、ほぼ線形の遺伝分散で表現できるのに対し、発育速度の遺伝様式は典型的は雑種強勢を示した。よって、ヨツモンマメゾウムシにおける競争様式は、単純に時間をかけて生育した大型個体が干渉競争をすることで勝ち抜き型になっているわけではないことが示唆された。飛ぶ型/飛ばない型を左右する幼若ホルモンを、黒化型系列の終齢幼虫に注入したところ、黒化型の消失を確認した。現在上記結果をまとめ、投稿論文を準備中である。 マメ内部における幼虫間の干渉能力を温存しているヨツモンマメゾウムシが、共倒れ型の競争様式をとるためには、何らかの形で干渉を緩和あるいは防止する手段が必要になる。幼虫の壁作り行動はまさにそのための至近要因として機能しており、さらに壁作りは地域系統間で変異があるだけでなく、1地域系統内に作り上げた競争型の多型をしめす系列間でも変異がみられた。加えて壁作り行動は、主に線形に遺伝することが明らかになった。これらの結果をMano and Toquenaga(2007)として発表した。とるためには、何らかの形で干渉を緩和あるいは防止する手段が必要になる。幼虫の壁作り行動はまさにそのための至近要因として機能しており、さらに壁作りは地域系統間で変異があるだけでなく、1地域系統内に作り上げた競争型の多型をしめす系列間でも変異がみられた。加えて壁作り行動は、主に線形に遺伝することが明らかになった。これらの結果をMano and Toquenaga(2007)として発表した。
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