研究課題/領域番号 |
17570017
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
土田 浩治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00252122)
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研究分担者 |
安藤 哲 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (50151204)
小島 純一 茨城大学, 理学部, 教授 (00192576)
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キーワード | フタモンアシナガバチ / 卵識別 / フェロモン / worker policing / queen policing / コアシナガバチ / 受精ワーカー |
研究概要 |
コアシナガバチにおけるワーカー産卵の実態 コアシナガバチは、女王の存在下でも、ワーカーが卵巣を発達させることが知られている。本種のワーカー産卵の実態を解明するために、長野県の個体群を用いて、ワーカー産卵の実態の解明を試みた。その結果、(1)女王の存在下でも、受精したワーカーが存在すること、(2)受精ワーカーは、女王の存在下では卵巣の発達が抑制され、産卵は生理的に不能であること、(3)女王が消失すると受精ワーカーが女王の地位を占めること、(4)元の女王が消失した孤児巣のコロニーサイズは、女王の存在するコロニーサイズと有意な差がないこと、が明らかとなった。これらの結果は、神奈川県の個体群では、受精ワーカーが女王存在下でも産卵したという従来の報告と異なったものとなった。また、孤児巣のコロニーサイズが女王の存在するコロニーサイズと有意な差がなかったことは、受精ワーカーが女王として正常に機能し、コロニーが正常に発育していることを示唆していた。また、巣内のブルードのDNA分析を行った結果、複数の家系の子孫が混在するコロニーが存在し、このことは女王の複数回交尾や女王の交代が普通に起きていることを示唆していた。以上のことは、早期羽化オスがワーカーの交尾相手として有効であることを示唆している。また、交尾ワーカーの受精嚢内の精子量が、女王の物と比較して少ない傾向が認められた。このことは、早期羽化オスと、通常のオスとは交尾戦略が異なることを示唆しており、今後の研究課題として重要と考えられた。
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