インドネシア、スマトラ島中部のジャンビ州にあるガジャマダ大学演習林において植生調査と根系の調査を行った。年平均気温は26度前後、降水量は2600mmの場所である。 1.植生調査:1haの植生調査区を設定した。調査区内には胸高直径10cm以上の樹木が総計402本あり、そのうち74本は植栽されたゴムの木であり、天然生の樹木は328本であった。328本のうち種まで同定できたものが148本、属まで同定できたものが147本、未同定樹種が33本となった。少なくとも31科70種の樹木が分布していた。調査区内の全ての樹木の胸高断面積合計は28.2m2であり、そのうちゴムノキ(2.11m2)を除くと26.1m2であった。全胸高断面積合計の25.5%をしめたフタバガキ科、10%をしめたフトモモ科、5%前後を占めた、カンラン科、ムクロジ科、トウダイグサ科、ネムノキ科、ヒルギ科、サクラソウ科などが優占樹種として挙げられた。 2.根系調査:胸高直径(樹高)10cm(11m)、13cm(19m)、13cm(13m)、14cm(17m)、21cm(21m)の5本の木について、その根系のおおよそ半分の量を採取した。直径21cmの木については4分の1を採取した。根系の範囲は4〜8mであり、多くの根は深さ80cm程度までに分布していた。根系のバイオマスは3〜48kg程度と推定され、その約半分が主根によるものであった。側根の全体重量に占める割合は樹木が大きくなるにつれて増加すると考えられた。菌根の量については、直径10cmの木についてのみ定量が終了したが数十グラム程度とバイオマスとしては非常に小さかった。しかし落葉層中に分布している細根のほとんどは菌根化しており、養分吸収は主に菌根が担っていると考えられた。
|