チゴガニの社会行動の地理的変異と地域集団間の遺伝的変異をみる課題を、分布南限地の沖縄本島の集団も加えて実施し、ほぼデータ収集を完了できた。Wavingの様式、バリケード構築頻度とも、奄美大島の集団が最も特異な特徴を示し、これにつづいて、沖縄本島そして日本本土各地域という一定の変異傾向を見出した。しかも遺伝的変異においても、これと全く同じ変異傾向が認められ、社会行動の地理的変異と遺伝的変異との結びつきが示唆された。 Waving様式が異なる奄美大島の集団と和歌山県田辺湾の集団の間で、雄個体の移植実験を行うことで、waving様式の特徴が移植先で変化するかをみるという課題も、予定通り実施し、移植先でも、元の地域でもっていた行動の特徴が維持されるという結果を得ることができた。 以上2つの成果は、次年度に投稿論文として完成させる予定である。
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