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2006 年度 実績報告書

雄が卵を保護するヒラタヤスデの繁殖生態:親の投資・配偶システムと性選択

研究課題

研究課題/領域番号 17570022
研究機関鳴門教育大学

研究代表者

工藤 慎一  鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (90284330)

研究分担者 長谷川 英祐  北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40301874)
小汐 千春  鳴門教育大学, 学校教育学部, 助手 (60263878)
キーワード親の投資 / 配偶システム / 性選択
研究概要

マイクロサテライト遺伝子座マーカーの開発:昨年度に引き続き,ヒラタヤスデの親子判定に利用可能なマイクロサテライト遺伝子座マーカーの開発を試みた。しかし,残念ながら昨年度に準じた方法では,親子判定に用いることの可能な個体群内で多型に富む領域は見いだされなかった。このマーカーの開発は本研究の要のひとつであり,次年度以降も継続する予定である。ただし,その結果如何によってはマイクロサテライト以外の遺伝子マーカーの開発と利用を検討する必要があるかも知れない。
配偶者選択の検証実験:昨年の繁殖盛期に行った野外調査から,雄の抱卵クラッチサイズの変異は「特定の表現型を持つ雄が複数の雌由来の卵塊を同時に保護した結果(重複ブルード)である」という仮説が提出された。この仮説は,「高い繁殖成功を得る雄は,雌による配儲選択に有利な形質を持つ」ことを予想する。そこで,野外の繁殖開始前に採集した性的に成熟した個体を用いて,2雄1雌を同一容器中で飼育し配偶・産卵させる実験を行い,抱卵に成功した雄と不成功の雄間で表現型を対比較した。その結果,ライバル雄に比べて相対的に体節数が多く体幅の広い雄が配偶・繁殖に成功する顕著な傾向が検出された。一方,雄間に攻撃的な相互作用は全く観察されなかった。これらの結果は,本種の雌が配偶者選択を行うこと,そして選択のターゲット形質は雄の相対的な体サイズであることを強く示唆している。ただし,野外で繁殖していた雄と繁殖していなかった(成熟)雄の体サイズ間に明らかな差は検出されていない。また今年度の野外調査から,時期によっては(昨年度の調査によって明らかにされた)「雄の体サイズとクラッチサイズの正の関係」が明瞭でないことが新たに判明した。これら一見矛盾する現象をいかに説明するかは,次年度以降の検討課題である。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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