研究概要 |
本研究は、ジベレリン(GA)のシグナル伝達機構を解明することを目的とする。 (1)GID1とSLR1の相互作用の解析 昨年度までの結果として、ジベレリンの受容体であるGID1がジベレリンと結合すると、抑制因子であるSLR1と特異的に結合することを、yeast two hybrid assayの系で証明した。本年度は、in vitroにおけるGID1-GA-SLR1複合体の形成をゲルろ過法により解析した。His-tagをつけた全長のGID1タンパク質に対して、SLR1タンパク質(M1からH327の領域)をジベレリン存在下または非存在下でインキュベーションした後、ゲルろ過を行ったところジベレリン依存的に結合した。さらに、このSLR1を基にして、様々なSLR1のデリーションコンストラクトを作成したところ、N未のDELLA、TVHYNPドメインのどちらかが欠損するとGID1と結合できなくなった。これらのことから、この2つの領域がGID1との結合k必要であることが明らかとなった。 (2)SLR1とGID2との相互作用の解析 ジベレリン依存的にGID1と結合したSLR1は、Fボックスタンパク質であるGID2と特異的に結合すると考えちれる。そこで、yeast three hybrid法によりGID1,SLR1,GID2 3者の結合様式を調べた。その結果、GID2は、ジベレリン、GID1が存在している時のみSLR1と結合することが明らかとなった。 (3)GID1、SLR1タンパク質の構造解析 これらのタンパク質のX線構造解析を行う目的でGID1の結晶化を行ったが、解析に耐えうるような結晶は得られなかった。これは、タンパク質の構造の不安定性に依るものと考えられたので、タグの位置、タグを切るプロテアーゼの種類などの検討を行った。
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