アブラナ科植物の和合受粉認識反応の解析のために、新規イエローカメレオン3.6(YC3.6)の遺伝子によるCaイオンモニター系と細胞外Caイオンおよび水移行のモニター系を構築すると共に、受粉時の花粉一雌蕊認識に関わる因子探索のための突然変異体のスクリーニングを行った。 1)受粉過程における水およびCaイオンモニター系の構築 アブラナ科植物の和合受粉において、花粉が乳頭細胞で発芽伸長するためには、乳頭細胞からの水やイオンの供給が必須であると考えられている。しかし、このような受粉時の水やイオンの動態は明らかではない。本研究では、花粉や乳頭細胞内のCaイオンの動態をモニターするための系として、エネルギー移行効率の高いCaセンサータンパク質YC3.6遺伝子を花粉と柱頭でするシロイヌナズナを作出した。一方、細胞外での水やCaイオンの動態を調べるために、Caイオン蛍光指示薬などを用いた系を構築した。このようなモニター系により、花粉の吸水から発芽にかけて、乳頭細胞から花粉へ移行する水とCaイオンをモニターすることができた。さらに、花粉表層に、水とCaイオンの移行を誘導する物質の存在が示唆された。 2)受粉時の花粉一雌蕊認識に関わる因子探索のための突然変異体のスクリーニング 受粉時の花粉一雌蕊認識に関わる因子探索のために、EMS処理種子から稔性の低下した変異体をスクリーニングした。その結果、雌蕊側変異株が2株、花粉側変異株が7株、雌蕊・花粉変異株が4株得られた。後代を解析したところ、雌蕊側変異株については、受精過程での変異株であることが示唆された。現在、花粉側変異株について、後代を解析しているところである。
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