研究課題
本年度は光環境と生育段階によるブラシノステロイド生合成制御機構の解析を行った。報告者はシロイヌナズナからBR生合成で6位酸化を司る酵素をコードするBR6ox1,BR6ox2遺伝子をクローニングして機能を証明した(Shimadaら2001;2003)。これら2つの遺伝子の発現について詳細に調べるためにシロイヌナズナを用いてBR6ox1:GUS, BR6ox2:GUSの2つのレポーター株を作出し、ブラシノステロイド6位酸化酵素遺伝子の発現制御について調べた。明所、暗所で発芽させた芽生えを発芽1日目から12日目までサンプリングし、GUS染色を行って生育段階に応じて遺伝子が発現する器官・組織・細胞の特異性を調べた。その結果、暗所ではBR6ox1,BR6ox2遺伝子の発現はどちらも下胚軸で強く、子葉では見られなかった。一方、明所ではBR6ox1は5日目までは根でのみ発現が観察され、それより後では下胚軸や葉柄でも発現が観察された。一方、BR6ox2は5日目までは下胚軸と根で、それより後は葉柄、子葉、本葉を含む全ての器官で発現が観察された。これらの結果から、環境に応答してBR生合成遺伝子の発現する器官が変化し、それに従ってBRが生合成され、器官とひいては植物個体の形態形成を制御する仕組みが備わっていることが示唆された。また、BR6ox1とBR6ox2の2つの遺伝子はそれぞれ異なった制御方式で外的・内的環境から発現制御を受け、バランスを取りながらシロイヌナズナの形態形成を制御していることが示唆された。
すべて 2006 2005
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Plant Journal 45
ページ: 193-205
Bioorg Med Chem. 13
ページ: 4491-4498
Plant Journal 42
ページ: 23-34