研究概要 |
(1)Dmrt1遺伝子はZW型性決定様式をもつニワトリと同様、ZW型ツチガエルの性決定遺伝子か?当研究室はツチガエルの雄化に関わると考えられるDmrt1遺伝子を単離していたので(柴田等,2002)、XY型及びZW型ツチガエルからゲノムDNAを調整しDmrt1 cDNAをプローブとしてサザン法によってニワトリと同様にDmrt1遣伝子がZ染色体上にあるかどうかを調べたが、この遣伝子がZ染色体上にある確証が得られなかった(村上等,投稿中)。そこで、FISH法を用いて染色体上のDmrt1遺伝子の局在場所を調べた.その結果、この遺伝子はニワトリと異なりZ染色体上にはなく、常染色体上にあることが判明した(村上等,投稿中)。この結果はDmrt1遺伝子が核型で異なる性決定遺伝子の候補遺伝子ではないことが分かったため、XY型とZW型ツチガエル幼生では性ステロイドホルモン感受性が異なり、前者は雄性ホルモンで雌から雄に、後者は逆に雌性ホルモンによって雄から雌に性を転換させることができることからステロイド代謝酵素が核型が異なる集団の性を決定する重要な要因であることが考えられたので、ステロイド代謝系について調べた。 (2)ステロイド合成酵素遺伝子CYP17は雄化に重要な役割を果たす。 ツチガエルの卵巣で発現する4つのステロイド代謝系の酵素遺伝子、P450コレステロール側鎖切断酵素(CYPl1A)、17αヒドロキシラーゼ/17,20-リアーゼ(CYP17)、3βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3βHSD)、P450アロマターゼ(CYP19)のcDNAを単離して性腺発達時と性転換時の発現について調べた。その結果、以下のことが判明した。 1)CYPl1Aと3βHSDは性決定に殆ど関わらない。 2)CYP17の発現は性決定前後で雄に強く発現する。 3)CYP19の発現は性決定前後で雌に強く発現する。 4)性転換性腺ではCYP17の発現は雄化で強く発現する。 5)性転換性腺ではCYP19の発現は雌化で強く発現する。 6)CYP17はライディヒ細胞で発現する。 以上、岩出等(2007)印刷中 7)性転換(雄化性腺)で発現が著しく変化する24個の遺伝子のcDNA断片を得た。そのうちの3つについて全長cDNAを単離して発現解析を行なったところ、それらはいずれも初期卵母細胞で発現することが分かった。 以上、岡田等(2007)投稿中
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