研究課題
基盤研究(C)
生体内では細胞は複数の成長因子による影響を受け、その増殖や分化の制御を受けていると考えられる。しかし、複数の成長因子の複合効果を実験的に再現することは容易でない。従って、複数の成長因子による細胞生物学的効果はほとんど研究されていないといえる。我々はカラーインクジェットプリンタを用い、インクの代わりに成長因子を入れて培養基質に定量的にプリントすることで、複数種類の成長因子の及ぼす影響を調べる系(成長因子アレイ)を構築している。この系を用いて、分化多能性を有するマウス筋芽細胞C2Cl2とテラトカルシノーマ細胞PCC4を培養し、その分化に与える影響を検討した。多因子アレイが新規分化条件の発見に有効であることを確認するため、固相化したActivinA、FGF-2、BMP-2とレチノイン酸を組み合わせてアレイを作成し、多分化能を持つマウス筋芽細胞C2Cl2と胚性癌腫細胞PCC4 AGを培養することにより、4因子の分化についての複合作用を調べた。PCC4 AGはレチノイン酸、FGF-2、ActivinAにより神経分化が促進され、マーカー遺伝子であるnestinの発現を促進する。BMP-2は逆にnestinの発現を抑制する。4因子を種々の濃度で組み合わせたところ、多くの組み合わせでそれぞれを足しあわせた効果を確認した。また、いくつかの組み合わせで複合作用を確認した。例えば、FGF-2はnestinの発現を促進するが、特定の濃度のActivinA、BMP-2、レチノイン酸存在下でFGF-2を加えると、濃度依存的にnestinの発現が抑制した。C2Cl2細胞においてはTGF-β単独では筋衛星細胞(リザーブ細胞)への分化は抑制されたが、FGF-2,PDGF-BBとLIFの共存下にはTGF-βは濃度依存的にリザーブ細胞への分化を促進した。この結果から特定の細胞への分化が異なった複数の成長因子の組み合わせによって単独では見られない新しい作用を示すことが示唆された。
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J. Histochem. Cytochem. 54
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