研究課題
昨年度に作成したFBPの過剰発現変異体ならびに発現抑制変異体でのFBPの発現量は、イムロブロッティングにより、それぞれ野生型の約2倍と約1/3であることが確認された。そこで、これらのハエを用いて、in vivoでのFBPの機能解析を試みた。変異体および野生型のハエを明および暗環境下に順応させ、それぞれの網膜に含まれるレチノイドの種類と異性体形を、HPLCを用いて解析した。その結果、十分に明または暗順応した場合には、三者のレチノイド組成に有意な差は見られず、また、光による全トランスレチナールの11-シスレチノールへの変換にも差は確認できなかった。しかし、明川頁応したハエを暗環境に移したとき、FBPの発現を抑制したハエでは、明順応時に生成された11-シスレチノールの減少が阻害されることが分かった。さらに、変異体および野生型のハエでのオプシン合成速度を調べたところ、FBPの過剰発現により抑制され、逆に、発現抑制により促進されることが明らかになった。次に、抗PDH抗体を用いた免疫沈降を行い、PDHと相互作用する蛋白質の検出を試みた。その結果、FBPがPDHと共沈することがわかり、PDHはFBPと同じレチノイド代謝経路で作用することが強く示唆された。以上の結果から、ショウジョウバエのVisual Cycleにおいて、FBPとPDHは、光により生成された11-シスレチノールのうち、オプシン合成に利用されなかった過剰部分を全トランスレチナールへと変換し、網膜内で安定に貯蔵するのに機能するのではないかと考えられた。
すべて 2006
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Zoological Science 23・12
ページ: 1199
Comparative Biochemistry and Physiology, Part B 145・3-4
ページ: 419