研究概要 |
海水ウナギの腹腔内にEvans Blueを注射することにより、間脳のMagnocellular preoptic nucleus(pM)とAnterior tuberal nucleus(NAT)及び延髄のArea postrems(AP)のニューロンが直接血液に接していることを示した(Mukuda et al.,2005)。これら3箇所にAngiotensin II(ANG II)やAtrial natriuretic peptide(ANP)を作用させると、いずれのペプチドによってもPMとNATの神経活動は抑制されるが、APでは効果が見られない。PMとNATでANG IIとANPの双方に反応するニューロンは見つからないので、これらのペプチドはそれぞれ別のニューロンに作用していると思われる(準備中)。一方脳から上部食道括約筋(UES)を支配している、延髄のGlossopharyngeal-vagal motor complex(GyC)は自発的に発火しているが、この神経活動はカテコールアミンで抑えられる(Ito et al.,2006)をカテコマルアミンを合成しているニューロンとして、Vagal lobe(LX)やCommissural nucleus of Cajal(NCC)やAPが考えられるが(チロシンハイドロキシラーゼ抗体で染まる)、APを電気刺激してもGvgの活動は変化しない。LXを電気刺激するとGVCの活動は抑えられるが、この効果はカテコールアミン受容体のアンタゴニストではブロックできず、GABA_B受容体のアンタゴニストでブロックされた(準備中)。一方NCCの電気刺激はGVC活動を抑制し、この効果はカテコールアミン受容体アンタゴニストで抑えられた(準備中)。延髄を出た迷走神経は鰓の裏側で10本に枝分かれするが、そのうちのX2,X3,X4,X5と命名した分枝を電気刺激すると食道上部は収縮する。4本の分枝の内ではX5が一番強力で、この効果はクラーレで抑えられた。X5は食道上でさらに枝分かれし、1部は胃に行っている。この神経は胃を拡張すると発火頻度を高めるので、胃からの感覚神経だと思われる(準備中)。ウナギの上部食道括約筋(UES)は迷走神経によってコリナージックな支配を受けているが、ヴァソトシン(VT)、によって収縮が、イソトシン(IT)によって弛緩が惹起される。また静脈中にこれらペプチドを注射すると、VTによって飲水が抑えら、ITで促進された(投稿中)。またITによるUESの弛緩は、TTXで神経活動を遮断しても生じるととから、筋肉に対する作用だと考えられる。他方でITは神経刺激によるUESの収縮を増強するが、この効果はTTX存在下では全く見られない(投稿中)。
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