単細胞性のCW型宇ルーブの分類は、細胞の集合の仕方、葉緑体の形態、ピレノイドの有無、遊走子の形態等に依る。いくつかの属を取り上げ分子系統解析によってそれらの形態形質の系統学的評価を行った。1.Tetracystisの7種の系統 Tetracystisは娘細胞が四分子体を構成し、葉緑体は側壁でピレノイドをもつ。今までに約20種記載されている。そのうちの6種と分離株1種の分子系統解析をおこなったところ、3種は多くのChlorococcumの種と同じクレードになり、近縁であることが示された。また、T.intermediaはChlorogonium fusiformeと姉妹関係になり、紡錘形の遊泳細胞が共有派生形質だと推定された。しかし、他の3種は形態から系統関係を推定することはできなかった。 2.Neospongiococcumの3種とUrnellaの系統関係NeospongiococcumのN. proliferumは多核栄養細胞をもつことからDeasoniaに移されており、同じく多核のUrnellaと姉妹関係になった。一方単核のN. albamenseはChlorococcum diplobionticumと、またN.excentricumはChlorococum ellipsoideumらと姉妹群になったことから、葉緑体の形態で分けてきたNeospongiococcumとChlorococcumとの関係は精査しなおす必要性がある。 3.栄養細胞が多核になるという形質は3回別々に進化した この形質は次の6属にみられるが、それらは3つのグループに分かれ、それぞれ系統的に互いに遠く離れていた。1)Prososiphon、 Chlorosphaera、 Spongiochloris 、2)Urnella、 Deasonia、 3)Characiosiphon 4.アスタキサンチンを生成する緑藻は2系統ある 食材用色素、化粧品、医薬品、健康食品等の生産に用いられるアスタキサとチンを生成する緑藻としてHaematococcusとStephanosphaeraの系統解析がなされているが、今回Ettlia wimmeriがH.lacustrisと姉妹群になることがわかった。一方Stephanosphaera sp.はH. zimabwiensisと姉妹群であり、前者とは異なる枝に位置した。これらから、Haematococcus属は2系統に分かれること、したがってアスタキサンチン生成緑藻は2系統あり、その生成能は独立に進化したことが推定される。
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