研究課題
イグアナ下目(アガマ科・カメレオン科・イグアナ科)を中心としたトカゲ類から、ミトコンドリアDNA全塩基配列の解読を行い、イグアナ類の生物地理と中生代の大陸移動の関係について解析を行った。イグアナ下目のうち、3種のアガマ類、1種のカメレオン類、5種のイグアナ類から新たにミトコンドリアDNA全塩基配列を決定することができた。既報の1種のアガマ類、2種のイグアナ類と併せて分子系統解析を行ったところ、アガマ科とカメレオン科が姉妹関係をなし、これらアクロドント類とイグアナ科が姉妹関係をなすという結果が明確に得られた。南北アメリカ大陸に分布の中心を持つイグアナ科の中で、マラガシートカゲ亜科だけが唯一マダガスカル島に生息するが、本研究ではマラガシートカゲ亜科の代表種がイグアナ科の中で最も初期に分岐したとの結果が得られた。また、アノールトカゲ亜科(Anole属)とヨウガントカゲ亜科(Plica属)の姉妹関係、ツノトカゲ亜科とイグアナ亜科の姉妹関係についても新たに示唆された。分岐年代を推定したところ、イグアナ下目の起源は約2億年前の前期ジュラ紀にさかのぼり、アクロドント類とイグアナ科の分岐がやはり前期ジュラ紀に起こり、アガマ科とカメレオン科が約1億年前に分岐したことが示された。さらにイグアナ科の亜科間の分岐が後期ジュラ紀から前期白亜紀にかけての数千万年間に一斉に起きたことが示された。以上の結果から、マラガシー亜科のイグアナ類がゴンドワナ大陸の分裂に伴った分断によって系統分岐したことが新たに示唆された。現在アガマ科とカメレオン科の起源と生物地理に関する考察を深めるべく、さらに解析を進めているところである。
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海洋生命系のダイナミクス-第1巻、海洋の生命誌(西田睦編)(東海大学出版会) (印刷中)
Ichthyological Research (In press)