研究概要 |
本課題では、南西諸島と台湾のハマボッスには以下の染色体多型があることを見いだした(mはそのうちの中部型染色体数を示す) 2n=16(6m),2n=17(6m),2n=17(7m),2n=18(4m),2n=18(5m),2n=18(6m),2n=19(5m),2n=20(2m),2n=20(4m) これらの多型は沖縄本島北部と奄美大島南部に位置する加計呂麻島で同所的に生育していたことから、テロメアの位置をFISH法で観察したところ、減数分裂に際して染色体が融合する現象が高頻度で観察された。この融合によって形成された染色体は、長さが異なる別の染色体と異形接合することによって二価染色体(まれに三価以上の多価染色体)を形成している。このことによって減数分裂時の染色体の分配は極めて正常に行われていることが確認された。また、葉緑体DNA多型をtrnT-trnLとtrnS-trnGの2スペーサー領域の塩基配列に基づいて解析する手法を確立して、本州から台湾までの104集団1040個体を対象にして解析を行い,琉球列島ではハマボッスの葉緑体DNAハプロタイプが「南琉球」「中琉球」「北琉球」の3地域に分化している現象を把握した。瀬戸口と荻沼は2006年3月に琉球大学で開催された日本植物分類学会第5回大会で,それぞれ一般講演とシンポジウムにおいて,上記結果を発表した.また,沖縄本島と奄美大島においてコドラードを設置し,集団内の個体毎の染色体多型とDNA多型を解析した.現在,SSR多型を解析するためのマーカーを開発中である.
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