研究課題
ヌマガエルRana limnocharisはアジア系のカエルの中では最も広く分布する種の一つであり、わが国の本州中部から、インド、パキスタンまでと、フィリピンおよびインドネシアに棲息することが知られている。本研究では、このヌマガエルについて、1)学名Rana limnocharisが厳密には本種群に含まれるどの種に対応するか、2)アジア全域では本種群にどのような地理的パタンの遺伝的分化が起っているか、3)このような集団の遺伝的分化が繁殖隔離機構の形成とどのように対応しているか、4)本種群をRana属から独立させてFejervarya属にするのは妥当か、を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、以下のことが明らかになった。1)F. limnocharisはインドネシアのBogorを基準産地とする東南アジア系統のヌマガエルである。2)アジアに広く分布するF. limnocharis種群は東南アジア系統とインド系統の2つに大きく分かれ、東南アジア系統はさらにF. limnocharisとF. iskandariの2種に分化し、インド系統は10種以上に多様に分化している。3)東南アジア系統とインド系統との間には、発生の初期に完全な雑種致死になる繁殖隔離があり、各系統内には幼生の発育不良や雑種不妊による繁殖隔離がある。4)Fejervarya属は、従来のRana属から系統的には大きく分化しており、Rana属から独立させるのが妥当である。ただ、インド系統と東南アジア系統はFejervarya属でもかなり大きく分化している。
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