研究課題/領域番号 |
17570083
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
横田 昌嗣 琉球大学, 理学部, 教授 (90166885)
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研究分担者 |
傳田 哲郎 琉球大学, 理学部, 准教授 (50284948)
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キーワード | 琉球列島 / 隔離分布 / 核型 / ホシザキシャクジョウ / ヒメスイカズラ / トゲイボタ / サツマイナモリ / アマミイナモリ |
研究概要 |
琉球列島を中心として隔離分布する植物から数種を選んで、系統地理学的研究を行った。 沖縄島固有のホシザキシャクジョウ(ヒナノシャクジョウ科)は、単型属とされることもあり、特異な形態的特徴を持つ植物であるが、基準標本の採集後約30年間全く発見されていなかったが、今回基準産地で再発見し、核形態学的特徴と分子系統学的位置を明らかにした。今後、他地域に隔離分布する同属の他種について研究を進める必要がある。 琉球列島の奄美諸島と沖縄諸島に固有のアマミイナモリ(アカネ科)は、サツマイナモリの変種とされていたが、異型花柱性を示さず、四倍体であることで異なり、分子系統学的解析でもサツマイナモリと大きく異なることから、サツマイナモリとは異なる起源を持ち、独立して琉球列島に侵入した遺存種であると推定された。 琉球列島の一部の島嶼に固有のヒメスイカズラ(スイカズラ科)は、近縁なスイカズラと異なる四倍体であることが判り、分子系統学的にもスイカズラとは異なる遺存種であることが示唆された。 琉球列島から日本本土に広く分布するヤブランとコヤブラン(ユリ科)は、共に二倍体、四倍体、六倍体からなる種内倍数性を示し、特に琉球列島で倍数性に変異が著しいことを示した。分子系統地理学的解析との比較から、ヤブランとコヤブランはそれぞれ単系統にならないこと、種内倍数性は複数の地域で繰り返し生じたことを示した。 琉球列島の一部の島嶼に隔離分布する固有種のトゲイボタの外部形態と染色体数を観察し、外部形態には多少の変異が認められるものの、染色体数は同属のオキナワイボタと同じであり、変異がないことが判った。今後、系統地理学的解析を進める必要がある。
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