研究概要 |
Fisturaliaのうち、日本,台湾,中国,樺太などアジア産の種約40種(標本総数約400点)について,形態,種内化学変異,生態学的特性について検討を行った。形態形質としては従来から利用されているものの他に新たに偽盃点の形状,皮層下部に発達するchondroid layerの形状や配置が種分化に強く関連していることが明らかになった。また,各種には二種以上の種内化学変異の存在が確認されたが,変異の違いには1)デプサイドが付加的に存在するもの,2)数種のデプシドーンが置換しているもの,3)あるいは1)と2)が同時に生じるものがあることが明らかになった。 また,新しい資料が得られた日本(竜王峡,恵那峡,開聞岳),韓国(済州島),台湾(玉山)産のFistulariaのrDNA ITS、SSU領域を用いて系統解析の結果から,Fistulariaはカラタチゴケ属から独立した分類群ではなく,同一属のもとに再編成する必要が示唆されてきた。一方,Fistulariaに近縁とされてきた,Niebla, Ramalinopsis, Vermilaciniaなどは独立した分類群である可能性が高い。
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