研究課題
基盤研究(C)
本研究では、種々の膵臓消化酵素、α-アミラーゼ、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、リパーゼ、ならびにリボヌクレアーゼに糖結合性を見出した。7種類の糖タンパク質を修飾して30種類のビオチン化糖タンパク質プローブを調製し、ウシおよびブタ膵臓トリプシン(BPT, PPT)ならびにウシ膵臓トリプシノーゲン(BPTG)との結合試験をトリプシン阻害剤存在下、ELISA法により行った。BPT, PPTは共通して糖タンパク質のN型糖鎖に対して高い結合性を示したが、BPTGはムチンなどのO型糖鎖に対してもよく結合した。表面プラズモン共鳴による相互作用解析から、ELISAでよく結合した糖タンパク質との親和定数(K_A)は、10^6-10^<10>M^<-1>の高い値を示し、トリプシンのフェツインに対するK_Aは脱N-グリコシル化により10^4M^<-1>まで低下し、ELISAでの結合性と相関する結果が得られた。一方、種々の糖-ビオチニルポリマー-プローブとのELISAから、各酵素で単糖レベルでの糖結合特異性の差も観測され、糖タンパク質結合性は、酵素の糖鎖配列に対する認識によることが示された。特異糖存在下では、トリプシンの人工基質に対する酵素活性が非競争的または不競争的に増強したことから、触媒部位とは異なる部位で糖と相互作用することが示唆された。各酵素の生体内糖鎖レセプターを解析するため、ブタ十二指腸の内腔から刷子縁画分を調製し、SDS-PAGEにより分画後、PVDF膜に転写し、標識した酵素と反応させた。それぞれの酵素について複数の陽性バンドが検出された。ゲル内消化とプロテオーム解析の方法により、レセプターの同定を進めている。この結果は、抗体による組織化学染色において、リパーゼ、α-アミラーゼは腸管内腔のレセプターに糖特異的に結合して存在するという観察とも一致した。これらの膵臓酵素の糖鎖結合部位と結合様式については、糖鎖結合予測プログラムによる予測と、X線結晶解析による実験的解明を進めている。
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