研究概要 |
(1)ヘムドメインの部位特異的変異体の作成と解析による軸配位子の同定; NPAS2のPASAドメインのヘムの軸配位子と推定されるアミノ酸の部位特異的変異体を作成した。変異体を大腸菌で発現精製し、UVやラマンなど各種スペクトル解析を行ったところ、PASAではHis119,His171が軸配位子である事が示唆された。(2)NPAS2とBMAL1タンパク質のヘテロダイマー形成とDNA結合能の解析;NPAS2はBMAL1とヘテロダイマーを形成し、CryやPerなどの時計遺伝子の5'上流に存在するE-boxに結合し、それらの遺伝子の転写を促進する。そこでまず精製した野生型NPAS2-bHLH/PASA、NPAS2-bHLH/PAS/PASBとBMAL1-bHLH/PASAを用いて、DNAへの結合能とヘテロダイマー形成能を調べるためのゲルシフトアッセイ系を開発した。その結果、ヘテロダイマー形成とE-boxへの結合はNADPH濃度依存的に起きるとこがわかった。またPASBドメインがなくともヘテロダイマー形成が見られた。さらに(1)で作成したNPAS2PASAドメインに変異を持つタンパク質を用いて解析中である。(3)NPAS2のヘムドメインの遠位、近位アミノ酸の変異体の構築と解析;Fe(III),Fe(II),Fe(II)-CO、-NO錯体形成によって起こる構造変化がどのようにヘテロダイマー形成とDNA結合能に伝達されるかを調べるために、新たにヘム遠位あるいは近位のアミノ酸の変異体を作成した。さらにNADPH結合部位と推定されるbHLHドメインとPASAドメインのリンカー部位の変異体を作成中である。その変異を持つbHLH/PASAドメインの発現系の構築を行い、それらの変異がヘテロダイマー形成とDNA結合能にどんな効果を及ぼすかを解析する。(4)NPAS2とBMAL1の転写活性制御のin vivo機能解析;NPAS2の転写因子としての活性を、ルシフェラーゼアッセイによって解析するために動物細胞系でのNPAS2とBMAL1の強制発現系とルシフェラーゼ遺伝子の上流にPer2のE-boxを挿入したreporter geneの構築を行った。転写活性を測定するためにルミノメーターを購入した。
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