研究課題
小胞輸送因子p115はゴルジ体層板間輸送に働くものとして発見された可溶性たんぱく質であるが、現在、小胞体-ゴルジ体間輸送、ゴルジ体層板間輸送、ゴルジ体形態維持に重要な役割を果たすと考えられている。小胞輸送因子P115をRNAi法を用いてノックダウンした細胞ではゴルジ体が断片化し、微小管は正常であるにも関わらず、その断片は本来ゴルジ体があるべき核近傍の微小管形成中心から離れた位置に散在していた。更にP115ノックダウン細胞にsiRNA耐性型P115cDNAをマイクロインジェクションしたところ、ゴルジ体は核近傍に再構築されたが、微小管重合阻害剤存在下では再構築は見られなかった。これらの結果からp115が小胞を微小管にそってゴルジ体に運搬する機能を持つ可能性が高まった。また、さまざまなp115変異体を用いてゴルジ体の再構築を観察したところ、小胞体からゴルジ体への運搬にはコイルドコイル領域が必要であることがわかった。この領域はSNAREおよびRab1と相互作用することが報告されており、両者の関与が考えられる。N末側ドメイン欠失型では核近傍へ移行するがゴルジ体の層板が長くならず、この領域は膜の融合に働くことが示唆された。小胞と微小管をつなぐ微小管側因子の候補として、ダイナクチン複合体の構成要素bicaudal-D(BICD)があげられ、BICD 1,BICD 2が知られているが、スプライスバリアントがそれぞれに複数存在し、それらの働きを区別することがまず必要である。現在それぞれのcDNAの単離および特異抗体の作成を進めている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Biochem.Biophys.Res.Commun. 338・2
ページ: 1268-1274