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2006 年度 研究成果報告書概要

生物型結合振動子系に見られる複数アトラクター間の制御

研究課題

研究課題/領域番号 17570136
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 生物物理学
研究機関早稲田大学

研究代表者

高松 敦子  早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (20322670)

研究分担者 加川 友己  早稲田大学, 理工学術院, 助手 (90409649)
研究期間 (年度) 2005 – 2006
キーワード真正粘菌変形体 / 結合振動子系 / 遷移 / カオス的遍歴
研究概要

本研究は、振動性の細胞である真正粘菌変形体細胞で構築した結合振動子系に見られる時空間パターンの遷移現象のダイナミクス解析を目的としている。
平成17年度では、これまでに研究代表者らが見出した遷移現象について、各相互作用強度毎に現れる振動パターンとその頻度、遷移規則を詳細に調べた。その結果、出現パターンの出現頻度には相互作用強度依存性があり、それに伴いパターン間の遷移確率も変化することがわかった。
また、複数見られる時空間振動の各パターンが生じるメカニズムを調べるために、数理モデルの構築に着手した。これまでの研究で位相方程式というシンプルな結合振動子モデルを想定してきたが、このモデルでは1つの安定な振動パターンしか得られない。そこで、真正粘菌細胞の振動は細胞の収縮弛緩によって引き起こされることから、系全体に原形質量保存則を適用したモデルを考案した。その結果、例えば、2振動子系、3振動子系で見られた全てのパターンを再現することができた。
平成18年度では、遷移現象の背後のメカニズムを知るために各パターンに留まる滞在時間の分布を詳細に調べ、ガンマ分布(複数のボアソン過程から生じる分布)をベースとしたものであることを見出した。この結果から、背後にある力学系として次のような描像が得られる。結合強度を制御パラメータとした分岐構造があり、それらは多重の準安定状態にある。真正粘菌を始めとした生物系は常に内外ノイズにさらされており、分岐前後の近傍ではノイズによって多重準安定状態間を跳ばされてガンマ分布を形成していると考えられる。真正粘菌のエサ探索時にはランダムな時空間パターンが現れるが、このような機構を利用して固定化した行動ではなく自発行動が可能となると考えられる。これらの実験結果を踏まえた遷移現象のモデル化については今後の課題である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Spontaneous switching among multiple spatio-temporal patterns in three-oscillator systems constructed with oscillatory cells of true slime mold.2006

    • 著者名/発表者名
      A.Takamatsu
    • 雑誌名

      Physica D 233

      ページ: 180-188

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 真正粘菌アメーバから学ぶ要素集団系のシステム生物学的アプローチ

    • 著者名/発表者名
      高松 敦子
    • 雑誌名

      日本機械学会誌 109・1049

      ページ: 253-256

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 複雑系叢書 第6巻 コンプレックス・ダイナミクスの挑戦(早稲田大学複雑系 高等学術研究所編)(共立出版)

    • 著者名/発表者名
      高松 敦子
    • 出版者
      生きた細胞による結合振動子系の構築-複雑な振る舞いをする生物観察の再構成的アプローチ-(印刷中)
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2008-05-27  

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