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2006 年度 実績報告書

蛋白質中電子移動の理論と計算

研究課題

研究課題/領域番号 17570137
研究機関名城大学

研究代表者

垣谷 俊昭  名城大学, 理工学部, 教授 (90027350)

キーワード蛋白質中電子移動 / 非弾性トンネル / 熱揺らぎ / 時間相関関数 / 生体電子移動 / superexchange / 低温電子移動 / エネルギーギャップ則
研究概要

生体エネルギー変換において電子移動が中心的・普遍的役割を果たしている。この生体電子移動は蛋白質を媒体としたsuperexchangeの機構でおこる。蛋白質構造が熱揺らぎによって変化をすると、superexchangeの機構がmodifyされ、蛋白質内のトンネルカレントの分布が変わり、最終的に電子トンネル因子が変化する。先年度までの研究で次のことが明らかにされている。蛋白質構造の熱揺らぎによって誘起された電子トンネル行列要素Tdaの時間相関関数を計算した結果、時間相関関数は指数関数的に減衰し、時定数が60fsと短い値が得られた。この時間相関関数をフーリエ変換して電子因子のパワースペクトルを求めると、ローレンツ関数型になり、長いテールを持った。このことにより、非弾性電子トンネルのチャンネルが開放され、電子移動速度のエネルギーギャップ側のinverted regionを持ち上げる効果を示した。今年度は低温(77K)にして蛋白質構造の熱揺らぎを制限することによってTdaの時間相関関数がどのように変化するかを調べた。その結果は意外にも、大略において、常温で求めたTdaの時間相関関数と似た結果が得られた。すなわち、指数関数的に減衰した。ただし、低温で蛋白質構造は局所エネルギーミニマムにトラップされるので、異なったトラップ状態の蛋白質ごとに時間相関関数の減衰の時定数は異なり、60-130fsの間に分布した。この結果は77Kの低温においてトンネルカレントの揺らぎは、振幅が小さくとも揺らぎの性質が変化せず、dissipativeであることを意味する。その機構と関連して、われわれは各原子間トンネルカレントの揺らぎが、蛋白質の原子間距離の揺らぎとほとんど相関を持たず、蛋白質構造全体の変化を反映した揺らぎになっていることを見出した。このことはタンパク質中電子移動経路がどのようにして決まるかの知見を与えてくれる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Temperature dependence of the inelastic electron tunneling2006

    • 著者名/発表者名
      H.Nishioka
    • 雑誌名

      Molecular Simulation Vol.32,NO.9

      ページ: 727-734

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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