研究課題
基盤研究(C)
GFPタグをつけたヒトMcm10をHeLa細胞内で発現させると、DNA複製のfociの局在変化に類似した分布を示すが、GFP-Mcm10のパターンの変移は、複製のfociのパターンの変移よりも30分ほど早く起こることがこれまでの解析から明らかになっている。この結果は、GFP-Mcm10が複製開始の30分ほど前に複製部位にリクルートされること、Mcm10が複製前複合体の活性化に関与していることを示唆している。本研究では874個のアミノ酸から構成されるヒトMcm10のさまざまな変異体を作成してHeLa細胞内で安定に発現させ、その表現型を解析した。C末端部分を欠く変異体(1-693)は、その大半が細胞質に存在しており、C末端部分に核移行シグナルがあることが示唆されたが、変異体の一部はS期の直前からS期の中期にかけて核内に移行し、野生型と同様のfociを形成した。一方、C末端部分をさらに削った別の変異体(1-482)では、細胞周期を通して細胞質に存在していたが、N末端部分を削った変異体(208-693)は核内でfociを形成した。また、種を超えてもっとも保存されている領域(165-437)を欠く変異体も核内でfociを形成した。以上の結果は、483-693の領域がMcm10のクロマチンへの移行と核内でのfoci形成に必須であることを示している。一方、種を超えて保存された領域(165-437)を欠く変異体は、G1期におけるタンパク質レベルのダウンレギュレーションが顕著に見られなかったことから、細胞周期に依存したタンパク質レベルの変動に関与していることが示唆された。
すべて 2005
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RIKEN Accel.Prog.Rep. 38
ページ: 129