研究概要 |
マウスのOrcサブユニットの機能解析を進め、マウスOrc1、2、3にsplicing variantが存在することを見出し、それらvariantの解析を通じてOrc1の核移行シグナル、タンパク質分解に重要な領域に関して報告した。これまでにOrc1を一過性過剰発現させた場合、Orc1Aはプロテアソームにより速やかに分解されるのに対して、Orc1Bは分解されず安定に細胞質に局在することから、この分解には、Orc1Bが欠失している領域に含まれる276番目のセリン残基(Ser-276)のリン酸化が関与することが示唆された。このリン酸化部位特異的抗体を作製したところ、Ser-276のリン酸は上流のCyモチーフに依存し、核へ移行できない変異型Orc1Aや、N末領域を欠失した変異体が高リン酸化状態にあることを見いだした。ヒトOrc1のN末領域のBAHドメインはHP1alphaと結合すると報告されている.そこで、マウスOrc1のBAHドメインもHP1alphaと相互作用する事をGST-プルダウンアッセイにより明らかにした。pre-RC, pre-IC構成因子の中で、Orc1のBAHドメインと相互作用する因子があると推測し、NIH3T3中に一過性過剰発現させた、Cdc45に結合する事を見出した。以上の結果からSer-276のリン酸化はヘテロクロマチン中では,HP1がBAHドメインと相互作用しているため、M期までリン酸化されずにおり、Pre-IC中ではCdc45が相互作用しており、複製開始に伴い、Cdc45-Orc1-BAHドメイン間相互作用が解消されるとSer-276がリン酸化されOrc1は、クロマチンから遊離し、プロテアソーム系により分解されるのではないかと示唆された.
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