研究課題
基盤研究(C)
本研究は生細胞イメージングと分子遺伝学手法を用いて、分裂酵母における減数分裂期前期染色体高次構築の解明、染色体高次構築に必要な分子機構の同定および機能解析を目的とする。平成17年度において、減数分裂期前期における染色体クロマチンの構造変化を解明するために、染色体高次構築を生細胞で計測可能なアッセー系の確立を実現し、減数分裂期前期の染色体構造に減数分裂期特異コヒーシンたんぱく質Rec8とPds5が大きく寄与することが明らかになった。平成18年度において、減数分裂期前期染色体の凝縮度変化の生物学意義や関連分子の制御機構などについて調べ、Pds5がコヒーシンたんぱく質Rec8の染色体結合を制御すること、また、染色体高次構築が直接に相同染色体の対合に寄与することを明らかにした。具体的には、クロマチンIP法(CHIP法)及びDNAマイクロアレー(チップオンチップ法)を用いて減数分裂期前期染色体構築の分子メカニズムの解析をした。その結果、Rec8たんぱく質が減数分裂期染色体に結合し、80%の結合部位間距離が30kb以内に収まる。しかし、Pds5の欠損株では、Rec8たんぱく質の染色体結合部位が著しく減少し、従って、Rec8結合部位間距離が野生株と較べ増大した。この結果から、Pds5欠損株で見られた染色体凝縮度の増大現象がRec8の結合部位の減少とコヒーシン軸外クロマチンループの増大で説明できる。以上の研究成果は」.Cell Biology誌にて論文発表した。さらに、すでに本研究者によって確立した相同染色体対合の生細胞計測システムを用いて、減数分裂期特異的コヒーシンの破壊株などにおける相同染色体対合のダイナミクスの変化を調べた。Rec8とPds5の破壊株において、染色体全域にわたって対合が著しく低下し、相同染色体同士の空間配列が阻害された。従って、コヒーシンタンパク質が染色体構造に寄与することによって相同染色体の対合に貢献することが明らかになった。
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Journal of Cell Biology Vol.174, No.4
ページ: 499-508
Journal of Cell Biology Vol. 174, No. 4
Cell Biology, Four-Volume Set 1-4 Chapter 17(E1sevier Science (USA)) 1-4
ページ: 171-177