活性化された増殖因子受容体のリソソームへの選別輸送(ダウンレギュレーション)において、受容体のユビキチン化がエンドソームからリソソームへの選別輸送シグナルとして働く。そしてエンドソーム膜上のユビキチン結合タンパク質複合体Hrs-STAMがユビキチン化された受容体を認識することにより、その選別輸送因子として機能している。本研究課題では、Hrs-STAM複合体と相互作用する脱ユビキチン化酵素UBPYのエンドソームにおける機能解析を行った。 UBPYと共免疫沈降するタンパク質をペプチドマスフィンガープリント法で同定することにより、14-3-3タンパク質がUBPYと結合することを見出した。UBPYにはSer-680周辺に14-3-3結合コンセンサス配列が存在し、14-3-3タンパク質はSer-680のリン酸化依存的にこのコンセンサス配列に結合することが明らかになった。さらに、14-3-3タンパク質の結合によりUBPYの脱ユビキチン化酵素活性が抑制されること、細胞分裂期にSer-680が脱リン酸化されて14-3-3タンパク質がUBPYから解離してUBPYの酵素活性が上昇することを明らかにした。これらの結果から、タンパク質のユビキチン化/脱ユビキチン化によって細胞分裂期におけるエンドソームの機能が調節されていることが示唆された。 またUBPYノックアウトマウスを作製し、その欠損胚が受精後8.5〜9.5日目に耐性致死となることを明らかにした。胚切片の組織学的解析の結果、UBPY欠損月杢の細胞は中胚葉誘導がおきる前に増殖を停止することが明らかになった。またUBPY欠損胚由来の初代培養細胞の免疫染色の結果から、UBPY欠損細胞では初期エンドソームへのユビキチン化タンパク質の蓄積とその形態変化が引き起こされていることが明らかとなり、エンドソーム機能が胚発生に必須であることが示された。
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