研究課題
ホスホリピドヒドロキシパーオキシドグルタチオンパーオオキシダーゼ(PHGPx)はセレンを含む酵素で、精巣に多く発現し、主にミトコンドリアに分布している。精子鞭毛のミトコンドリアでは酵素活性は失われ、構造タンパク質として機能していると考えられている。この酵素のC-末15アミノ酸鎖に対する抗体を用いたこれまでのわれわれの研究から、PHGPxは細胞内では他のタンパク質と複合体をつくって存在することが示唆された。そこで、この酵素全体に対するポリクローナル抗体を調製し、免疫沈降法で結合相手の分析を計画した。しかし、精製したPHGPxに対する抗体の調製は困難を極め、成功しなかった。次に、方法を変え、ブルーネイティブ電気泳動法(BN-PAGE)とウェスタンブロット法(WB)を組み合わせてミトコンドリアタンパクの分析を行なった。先ず、様々なデタージェントによる複合体の抽出法を検討した結果、デオキシコール酸とドデシルーマルトシドによって効率よく複合体が抽出されることが分った。次に、ドデシル-マルトシド抽出物のBN-PAGEで分離される複合体におけるPHGPxの分布を調べた。BN-PAGE一次展開し、次いでSDS-PAGEで二次展開し、WBでPHGPxを染色した。PHGPxは440kDaを超えるものから150kDまでの複合体に含まれていることが明らかになった。次に、これらの複合体に含まれるPHGPxが還元剤・SDS存在下の熱処理で二次展開後単一のスポットになるかをみた。結果は19kDaの完全な単一スポットが観察された。結果はPHGPxが細胞内で他のタンパク質と複合体をつくって存在し、単体で存在することは殆どないことを示した。現在、二次展開で見られるスポットをMFP分析中である。
すべて 2007
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Journal of Histochemistry and Cytochemistry (印刷中)(印刷中)