研究課題
小胞体関連分解(ERAD)の分子機構の解明をめざして研究を行った。まず、小胞体ストレによって、誘導されてくる遺伝子として、TRAP(translocon associated protein)のひとつのサブユニットを同定した。TRAPは、小胞体膜上に存在し、4つのサブユニットからなる複合体を形成し、トランスロコンに結合することが知られているが、その生理機能に関しては十分解明されていない。そこで、TRAP複合体を形成する他のサブユニットに関しても検討した結果、いずれのサブユニットも小胞体ストレスによって同時に発現が誘導されること、この誘導は、小胞体膜上に存在するセンサータンパク質Ire1-転写因子XBP1経路を介することが明らかになった。次に、TRAP複合体の機能を解析するために、RNAi法を用いてTRAPのサブユニットをノックダウンした。その結果、サブユニットタンパク質のいずれかひとつをノックダウンすると、TRAP複合体の発現量が低下することが示された。この時、ミスフォールドしたタンパク質のERADによる細胞内分解速度が低下することから、TRAP複合体が、基質タンパク質の認識、逆行輸送に関与する可能性が示唆された。また、ERADで分解される、ミスフォールドしたモデル基質タンパク質、α1-antitrypsin亜型NHKをもちいて、どの様なアミノ酸配列がミスフォールドしたことの認識や分解経路へのシグナルになっているのか、さらにERAD基質タンパク質の認識に関わる分子の同定をめざした解析を開始した。その結果、NHKのC末端側に10個程度のアミノ酸配列を付加することによって、NHKのERADによる分解速度を、促進あるいは抑制できることが明らかになってきた。
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EMBO Reports (in press)
in "Animal Lectins : A Funcional View" (in press)
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