研究課題
基盤研究(C)
小胞体関連分解(ERAD)の分子機構の解明をめざして研究を行い、本研究期間中に、以下の点を明らかにした。1.α1-antitrypsin亜型NHKタンパク質はERADで分解を受ける。このタンパク質はN結合型糖鎖を3つもっている。糖鎖を欠いたNHK-QQQ変異体を作製して、細胞内分解動態の差異を検討した結果、(1)NHK-QQQはNHKよりも早く分解されること、(2)NHK-QQQもプロテアソームによつて分解されること、(3)N結合型糖鎖をもつNHKは小胞体(ER)-ゴルジ装置間をリサイクルしているが、NHK-QQQはERに留まっている可能性があることを見いだした。2.小胞体ストレによって、誘導されてくる遺伝子として、TRAP(translocon associated protein)のひとつのサブユニットを同定した。TRAPは、小胞体膜上に存在し、4つのサブユニットからなる複合体を形成し、トランスロコンに結合することが知られているが、その生理機能に関しては十分解明されていない。そこで、TRAP複合体を形成する他のサブユニットに関しても検討した結果、(1)TRAP複合体のサブユニットはいずれも、小胞体ストレスによって同時に発現が誘導されること、(2)この誘導は、小胞体膜上に存在するセンサータンパク質Ire1-転写因子XBP1経路を介すること(3)RNAi法を用いてTRAPのサブユニットのいずれかひとつをノックダウンすると、TRAP複合体の発現量が低下すること、(4)この時、ミスフォールドしたタンパク質のERADによる細胞内分解速度が低下することを明らかにした。この結果から、TRAP複合体が、基質タンパク質の認識、逆行輸送に関与する可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (11件)
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