研究概要 |
1.ゼブラフイシュfgf8遺伝子の転写調節機構同定済みのfgf8 MHB(中脳後脳境界)エンハンサーについて検討を進め、MHBでの転写活性化にはpax2a遺伝子の機能が必要充分であること、胚内でもPax2aがこのエンハンサー領域に結合していることを示した。さらに、このエンハンサー内のDCR3配列と相同な領域をマウス及びメダカのゲノムより増幅して検討し、この領域がやはりPax2aと結合し、ゼブラフィッシュでMHBエンハンサーとして作用することから、fgf8のMHBでの発現制御が脊椎動物内で保存されていることを示唆した。 2.ゼブラフィシュpou2遺伝子の写調節機構:pou2の中脳・後脳におけるエンハンサー領域(2.1kb領域)の作用が、4カ所のオクタマー配列の協調的な作用によること、これらの全てにPou2転写因子が結合すること、2.1kbエンハンサーがpou2の強制発現により活性化され、pou2の機能阻害により逆に阻害されることを見いだし、pou2の発現が自己調節的に活性化、維持されると結論した。一方、pou2の発現及び2.lkb領域の転写活性化能が胚後方より分泌されるレチノイン酸(RA)により阻害されること、2.1kb領域内にRA受容体の結合配列(RARE)が有り、これが2.1kb領域のRA応答能に不可欠であることより、pou2がRAREを介してRAにより後方で抑制されると推定した。 3.脳形成異常変異体の解析:中脳・顎異常変異体aa6kでは現在マッピングをさらに進めており、ゲノムデータベースより推定した候補遺伝子各々について検討を進めている。なお、峡部・体節異常変異体isdについては、その表現系とマッピング、N-cadherin変異体(parachute)との相補性試験の結果より,N-cadherinのドミナントアクティブ変異体であると結論した。
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