研究課題
基盤研究(C)
着生変態を誘導できるバクテリアを新たにスクリーニングしたが、変態誘導活性を有する菌株は単離できなかった。その代わり、ミドリイシサンゴ幼生に対して組織崩壊をもたらす菌株が単離できた。作用させる菌の密度が高いときにのみこの毒性を示したことから、自然界でサンゴ幼生を死に至らしめることは無いと考えられるが、サンゴにとって毒性を有するバクテリアが岩盤上に棲息していることは明確になった。この菌株はrDNA塩基配列の解析からVibrio属の一員であることが判明した。rDNAのPCRとDGGEによってバクテリア組成を識別できるかどうかの検討では、岩盤上から培養したバクテリア群集から抽出したDNAごとに異なるバンドパターンが検出された。しかし、サンゴ幼生の着生選択性とバンドパターンとの間に相関性が見られなかった。着生を左右するバクテリア組成と優占するバクテリア種との間に相関性が無いためと考えられる。変態誘導神経ペプチドのHym-248によるミドリイシ幼生の変態誘導による変態の過程で、変態中の幼生から二面性を有する物質が分泌されることが見つかった。この物質は、Hym-248と同時に作用すると変態の一過的阻害をし、Hym-248より遅れて作用すると変態を加速する。本来は変態中の幼生の体内で働く物質が漏れでたものと考えられる。変態過程の中に変態阻害も含まれていることを示唆しており、変態の進行が単純ではないことを示している。既に単離してあった変態阻害バクテリアによる阻害の情報伝達経路は、変態阻害神経ペプチドのRFamideを介さない複数の経路が主であることを示す結果が得られた。体内シグナルとして未同定の神経ペプチドの存在が推測される。
すべて 2005
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