研究課題
ミドリイシサンゴの一斉産卵が6月にあり、ウスエダミドリイシの卵採取と受精および幼生までの育成を行った。本年度はまず、幼生の着生を誘引するバクテリア群集の混合培養方法を検討した。天然の着生基盤となる石をサンゴ礁内から採取、または素焼きタイルを一ヶ月間サンゴ礁内に浸漬し、これらの表面を掻き取って、バクテリア群集の培養を行った。掻き取った試料を滅菌海水に懸濁し、懸濁液を直径13mmのフィルターに染み込ませ、寒天培地の上に置いて3-5日間培養した。フィルターの材質は、セルロースアセテート、濾紙、硬質濾紙を用いて比較した。培養後の濾紙は海水で軽く洗ってから、マルチディッシュに入れ、幼生を加えて着生誘引検定を行った。また、フィルター培養はバッチごとに2枚作成し、1枚は植え継ぎに用いた。これらの結果、今回採用したフィルター培養によって、着生誘引と植え継ぎの両面で、高率で着生誘引するバクテリアの混合培養が得られることが分かった。これは、液体培地や寒天培地を用いた単純な混合培養では得られなかった結果であり、新手法の有効性が明らかとなった。また、神経ペプチドホルモンによる変態誘導を持続的に阻害するバクテリアの有効成分の特徴を調べたところ、まず、分子量5千以上の分子であることが分かった。さらに、加熱処理によって分子量5千未満の低分子と分子量5千以上の高分子の2つの成分に別れ、しかも阻害活性が高まることが分かった。
すべて 2006
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Aquatic Conservation : Marine and Freshwater Ecosystems 16
ページ: 167-179