研究課題
基盤研究(C)
扁形動物プラナリアは、前後、背腹、遠近の3つの軸に沿った体制をもつ。プラナリアはどのように切断されても再生し、元と同じ体制をつくりあげることができる。これは再生過程において、個々の未分化幹細胞が体制に関わる何らかのシグナルを受け、適切な細胞へと分化することによると考えられる。しかし、その位置情報シグナルの実体、再生過程において、それらのシグナルがいつ働き体制が決まるのか、不明である。そこで本研究では以上のことを明らかにすべく実験を行い、以下の成果が得られた。1.背腹軸決定に関わる位置情報因子の候補としてすでに単離していたDjBMP(Bone Morphogenetic Protein)についてRNA干渉法による機能阻害実験を行なった。DjBMPの機能が阻害されたプラナリアでは、背側が扁平になると同時に体色が薄くなり、背腹の境界で発現するDjIfb遺伝子の発現領域が拡大していた。また、正常個体では腹側に2条見られる神経束が背側にも見られた。これらのことはDjBMPの機能阻害によって本来の背側が腹側に変換したことを示している。すなわち、DjBMPはプラナリアにおいて背側を規定するシグナル分子であると考えられた。2.プラナリアの体の中心にある咽頭を指標にして、再生過程における位置の決定の時期を特定した。まず、プラナリア尾部片において咽頭は常に断片中のほぼ一定の位置に形成することを明らかにした。この事実を利用し、切断した尾部片(第一切断)を一定時間後再生させ、それをさらに前後に二等分し(第二切断)その前断片中で咽頭のできる位置を調べた。その結果、切断後6から12時間の間に咽頭の位置が決定されることがわかった。また、切断後6から12時間後では組織学的な変化は認められないことから位置の決定は個々の細胞分化に先立って起きることを示している。
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Development, Growth & Differentiation 49巻4号
ページ: 345-349
Development, Growth & Differentiation 49(4)
Development, Growth & Differentiation 48巻9号
ページ: 615-628
Development, Growth & Differentiation 48(9)