研究課題
脊索動物誕生の分子基盤を明らかにするために、尾索動物ホヤの「脊索形成」をモデルとして研究を進めている。(1)脊索形成の分子基盤に関しては、脊索特異的遺伝子の蛋白質細胞内局在を中心に解析を行った。その結果、これまでに約20遺伝子について、EGFP融合蛋白質およびMyc-tag蛋白質を用いてホヤ胚脊索細胞内における細胞内局在を明らかにすることができた。脊索特異的遺伝子の蛋白質細胞内局在解析とモルフォリノオリゴ(MO)による遺伝子ノックダウンによる機能解析の結果を組み合わせることにより、脊索形成時の極性確立、形態変化、細胞移動に対する関与する因子の同定とその分子機構の解明を目指す。これまでの結果から特に脊索形成過程で重要な働きをすることが示唆される、Ci-Noto4とCi-Noto2の解析を中心に進めた。(2)脊索の神経形成における役割とその分子基盤に関しては、Scabrous-likeの局在と機能解析を進めている。中軸中胚葉である脊索は体軸伸長において働くのみならず、神経誘導や神経管形成過程においても重要な役割を果たしている。ショウジョウバエのScabrousは感覚神経細胞分化にNotchと協調して働くことが明らかにされているが、その脊椎動物ホモログの発生過程における役割は全く解析されていない。これまでに、尾索動物ホヤのBrachyuryの標的遺伝子であるCi-Scale(Ci-Scabrous-like)のmRNAは脊索細胞のみに特異的に発現することを脊索動物で初めて明らかにした。Ci-Scale蛋白質の局在をCi-Scale : EGFP融合蛋白質あるいはCi-Scale抗体を作製して調べたところ、脊索鞘に加えて脊索細胞外の脊側神経細胞の軸索に沿って繊維状に伸びて局在することが明らかになった。また、Ci-ScaleとCi-Notchの細胞外領域が結合することが免疫沈降実験の結果から示唆された。
すべて 2007
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Dev.Growth Differ. 49(in press)