研究課題
基盤研究(C)
我々が従来解析してきたMesp2欠損マウスは、Mesp2遺伝子座にLacZレポーターとPgk-neoがノックインされている。Dll3ノックインマウスではDll3遺伝子と共に挿入されたpgk-neoを、後にCre-loxPシステムにより除去している。P2MCMマウスではpgk-neoをflp-FRTシステムにより除去しているので、単なるMesp2欠損マウスとしてコントロールに用いることができると考えられた。そこで野生型、従来のMesp2欠損マウス、Pgk-neoをもつP2MCMマウス、Pgk-neoを除去したP2MCMマウス、Pgk-neoをもつDll3ノックインマウス、Pgk-neoを除去したDll3ノックインマウスの6種のアリルについて、体節形成における表現型を比較した。その結果、pgk-neoを除去したP2MCMマウスとDll3ノックインマウスにおいて、外見上体節の分節が観察された。組織学的観察の結果、この2種類のマウスでは野生型に比べて不完全ながら体節境界が形成されていることがわかった。Mesp1の発現レベルは従来のMesp2欠損マウスでは野生型とあまり変わらないのに対し、他の全てのアリルではMesp1の発現が顕著に上昇しており、2本のストライプをもつ異常なパターンも観察された。以上の結果から次のことが考察された。未分節中胚葉前方にはredundantな機能をもつMesp1とMesp2の2つの転写因子が発現しているが、Mesp2が欠損した場合にはMesp1の発現が上昇するような代償性の制御機構が存在している。従来のMesp2欠損マウスではなんらかの理由でこの代償機構が働かなかったため、MesP2の機能が明らかになったが、その他のアリルではMesp1の発現が上昇して体節形成の異常をレスキューするため、不完全な回復がみられたと考えられる。
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Developmental Biology 304
ページ: 593-603
Developmental Dynamics (in press)
Nature 435
ページ: 354-359