研究課題/領域番号 |
17570194
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
熊倉 博雄 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00178063)
|
研究分担者 |
中野 良彦 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (50217808)
平崎 鋭矢 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (70252567)
|
キーワード | 霊長類 / 体肢関節 / 体幹姿勢 / 形態学的適応 / 運動解析 |
研究概要 |
平成17年度は、霊長類の体肢関節構造の形態学的適応を中心に研究を行なった。 1)前肢について、原猿3種(ワオキツネザル、スローロリス、ガーネットガラゴ)の肩甲上腕筋群の全筋連続切片を作製し、組織計測学的検討を行なった。筋組織に加えて特に筋紡錘の定量を行なった。結果は、緩慢な樹上四足歩行を行なうスローロリスにおいて筋紡錘数が少なく、跳躍を運動様式の中に含むワオキツネザルとガーネットガラゴでは筋紡錘数が多かった。このことは、運動中体幹姿勢を伸展位に固定する跳躍型霊長類では肩関節角度の調節が重要であるのに対し、柔軟な体幹運動によって姿勢を調整しながら移動するスローロリスでは肩関節の筋は筋力産生型の傾向が強いことを示している。(本研究結果については第59回日本人類学会大会にて報告し、"Cells, Tissues and Organs"誌に投稿中) 2)後肢について、先と同じ原猿3種を用いて、移動運動中の体幹姿勢に大きな影響を及ぼすと考えられる膝関節について、膝関節の靭帯標本を作製し、電子式ゴニオメータを用いて受動的関節可動域を調べた。その結果、全体的な可動域は類似しているが、スローロリスにおいては膝関節伸展時の回旋運動域が大きいこと、ガーネットガラゴでは膝関節屈曲時の内外転運動域が広いことを認めた。これらの関節可動域の特徴はそれぞれの種特異的ロコモーターパターンによって解釈することができた。(本研究結果については現在「形態科学」誌に投稿中) 3)運動について、ニホンザルの二足歩行および四足歩行時の足関節の運動について、足底圧分布の計測によって検討した。その結果、足底圧の中心は、四足歩行時には足根部から第3、4趾にむけてまっすぐ進むのに対し、二足歩行時には足の外側を通った後、中足骨頭付近で内側に移行することを示した。(本研究結果は第22回日本霊長類学会大会にて報告)
|